想うのはあなたひとり―彼岸花―


沈みだす夕日を見ながらふと思った。


軽く唇に触れる。
また…キスしちゃった。


椿を裏切ってしまった。
私は昼間にあったことを思い出しながら自分の失点に泣きそうになった。

椿を裏切ったように…私は小絵も裏切ってしまったのだ。



照れながら告白の決意を私たちに知らせてくれた小絵に対してひどいことをしてしまった。




「私…本当に最低…」




もし小絵の告白に“OK”を出したのなら、皐と小絵はキスをするのかな?
するよね、そんなの。
恋人だったら…普通。



そう考えると何だか気持ちが焦りだした。
こんな感情は初めてだ。


皐と小絵がキス…



想像したらすごく嫌な気分になった。

して欲しくない。



電車の手すりをぎゅっと持ち、涙を必死にとめた。



なんなの、この感情。




私は嫉妬に狂う。
初めての感覚に襲われる。




やめて…止まって。





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