想うのはあなたひとり―彼岸花―
リュウの自分勝手な行動に驚いてしまう。
だが私はリュウの話が聞きたくて慌てて後ろをついていく。
ファーストフードの店の匂い、好きじゃない。
独特な油の匂いとタバコの匂い。
女子高生の化粧品の匂い。
さまざまな匂いが混ざって出来上がった店内は、異様な空気になっている。
私は我慢してリュウの後ろを歩く。
「いらっしゃいませ」
「えっと、テリヤキチキンセットでドリンクはコカ・コーラゼロで」
なによ、その偏った注文。
メインのカロリーは気にしないわけ?
ドリンクをカロリーゼロにしても意味ないわよ。
私はリュウの顔を見ながら、心の中でこう思っていた。
「妃菜子ちゃんは?なんかいる?」
「…オレンジジュース」
数種類のドリンクメニューから魅力を感じるのはオレンジジュースだけだ。
私、炭酸飲めないしね。
注文したものを受け取り、私たちは二人掛けのテーブルに座った。