想うのはあなたひとり―彼岸花―


リュウの自分勝手な行動に驚いてしまう。
だが私はリュウの話が聞きたくて慌てて後ろをついていく。


ファーストフードの店の匂い、好きじゃない。
独特な油の匂いとタバコの匂い。
女子高生の化粧品の匂い。
さまざまな匂いが混ざって出来上がった店内は、異様な空気になっている。
私は我慢してリュウの後ろを歩く。




「いらっしゃいませ」




「えっと、テリヤキチキンセットでドリンクはコカ・コーラゼロで」




なによ、その偏った注文。
メインのカロリーは気にしないわけ?
ドリンクをカロリーゼロにしても意味ないわよ。
私はリュウの顔を見ながら、心の中でこう思っていた。




「妃菜子ちゃんは?なんかいる?」




「…オレンジジュース」



数種類のドリンクメニューから魅力を感じるのはオレンジジュースだけだ。
私、炭酸飲めないしね。



注文したものを受け取り、私たちは二人掛けのテーブルに座った。




< 313 / 385 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop