花の都
第1章・巡礼
世界に神は唯一人しかいない。それは、誰もが知っているこの世界の常識。
この世界には幾つかの大陸があり、数多の国によって治められている。
その全ての国において女神フローラは崇められ、全ての国よりも上位に教会が存在する。
教会の権力は絶対だ。その証拠に、かれこれ数百年の間、教会に反旗を翻す国は現れていない。

この世界においては、女神の聖地を巡礼することが、最も安全で一般的な旅にあたる。
盗賊や山賊などの悪人たちも、巡礼者はさけて通っていた。かつては。
遠い昔は、女神が姿を現すことも多く、人々にとって神が身近な存在だったからだ。
しかし、それは最早遠い昔の幻となった。
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