蝉時雨
初恋
吉田に告白されてから一夜開けた今日…

私はまた図書館にいた。



今日も来ないのかな…

そう思っていると、見覚えのある男性がやってきた。


「こんにちは、唄さん。」


透さんだっ!


「こんにちはっ///」


私に気づいた透さんは笑顔で挨拶してくれた。


「また、会いましたね。」


あの優しい笑顔を見せる透。


「またお会いしたいなぁと思っていたんです!!」

「っ?」

「あっ////いえ…その…」


何言ってるのよ!!私のバカバカ!


「僕もです。」


一人で狼狽えていた私に彼はそう言って、また優しく笑う。


「唄さんは絵本も好きなんですね。」


私の手元にある絵本をみて目を細めた透さん


「あ、ハイ!好きなんです!!子供っぽいですけど…///」

「僕も好きですよ、絵本。」

「そうなんですかっ?!」

「ええ。子供っぽいですけどね?!」


微笑む透さん。

今日も蝉の声が聞こえる


―ミーンミンミンミン‥‥




やっぱり…心地いい。




人はこの感情を、恋と呼ぶのかな…
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