蝉時雨
ぶつかった視線に耐えられずに、私が先に目をそらした。


「っ////な、な、何言ってんのよ!冗談止めてよっ!」


冗だ…


「っ////」


だけど吉田の顔は真っ赤で…


「残念だな、俺は本気だっ///」


と、ハッキリ言った。


「…」



―ガタンッ


「唄?っおいっ!!」


勢いよく立ち上がったせいで椅子が倒れた。


「……っ////」


吉田がそんな私を驚いたように見つめるもんだから、倒れた椅子を直すこともせず走って逃げた。


「唄っ!!」


吉田の声が聞こえる、私を呼んでる。


「待てよっ!!」



感覚の短い足音と感覚の長い足音が追いかけっこしてる。



―がちゃ

入り口のドアを乱暴に開けて外に出た!!




―ミーンミン…ミン――

―…ジィー……―




うるさいっ!!

鳴くな!





「…」

「唄っ!!」


吉田の手が私の肩をつかんだ…
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