昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

「…いや、べつに……」

「なんか探しにきたん?」

「やから、べつに…お母さんテレビ見とったらええやん」

「んなガサゴソされたら気になるやんか」

「…………」

「…………」

「…………………浴衣、を」

「はぁ!?」


お母さんの手から、ボロってせんべいが落ちる。

ほらな。やから言うの嫌やってん。




…数日後に、秋祭りがある。

その秋祭りゆうのが季節外れの花火大会やねん。

まぁ、ちっこい規模のローカルなやつなんやけど。大学の近くの河原であってな。


久しぶりに行った夏休み明けの教室は、その話題で持ちきりやった。

女の子はみんな雑誌の浴衣特集に釘付け。ウチはその輪から外れてポケーッとしとったけども。

だって浴衣なんか小学校低学年以来着てないし。お世話になる気もないし。


…て、思っててんけど。


「アンタが浴衣着るん…!?」

「………悪いんけ」

「あは…っ!!あははははもーやめてよ笑かしにきたんかいな!」


そんな笑うことないと思うねんけど。いや、ウチやって正直自分おもろ!とか思とるけどな。

それがなんでわざわざ実家に浴衣取りに来たかーゆうたら。


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