昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


「─────」

「…ごめん」



ごめんな。


聞こえたのは、確かにかっちゃんの低い声。


ごめんな。ごめん、


ごめん、て




 なに、 を




「なに…それ……」



目を見開いて振り返る。

少し弱ったみたいな、ちょっと幼いかっちゃんが瞳にうつり込む。



「ごめん、て…なに」

「…この前のこと。……いや、それだけちゃうくて…はじめっから」

「は……?」


はじめっから。
なにを。なにを言うてんの?



─"こんばんはぁ〜!!"


一昨年のクリスマス、揺さぶられた窓。弾けとんだ鍵。

真っ赤な顔した、酔っぱらいのかっちゃん。



「……せやから。俺が手ぇ出したりせんかったら、普通のイトコ同士でおれたわけやん」

「…………」



アパート飛び出て帰って来た明け方。ドアの前にゴミ袋みたいなかっちゃん。


─"ゆうは、ここにおれや"


命令形で言われた、頼りない言葉。



「そしたらさぁ。多分お互い、つか、ゆうはフツーにだれかに好かれて………うん。なんて言うたらええんかわからへんけど」

「…………」

「俺にとったらさぁ。ちっさい頃から…つか、生まれてからずっとゆうは大事な身内やんか。」



なんで、ウチは、





─"お前にしかこんなんせぇへんわ"





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