昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

かっちゃんはチンタラなんや話し続けたけど、ちっとも頭に入ってこんかった。

脳ミソの神経回路が拒否してた。熱で焼きちぎれたみたいやった。



…なに今さら謝ってるねん。

なにを常識人ぶったこと言うてんの。


ごめん、て謝罪の言葉やねんで?わかっとる?わかって使うてるん。過去の過ちを後悔した時に言うモンなんやで?


なぁ。今までのことぜんぶ、




…後悔、してんの。





地から足がどんどん離れてく気がする。

ぐにゃぐにゃ歪んだところに立って、かたっぽは泥沼につっこんで、体が揺さぶられる。


「ゆうが怒るんは当たり前や思うし」

「…………」

「でもいつか、前みたいに…フツーのいとこになれたらええなぁて、思とる…し」

「………」

「……ほんま、ごめん」




あの頃はよかったなぁ。

あの頃に戻れへんのかなぁ。

なんにもなかったみたいに、フツーのいとこに。


何回も何回も思ってたはずの望み。


せやのにかっちゃんに言われたら、泣きたいんか悔しいんか暴れたいような気持ちに、背中が震えた。




…だって終わりやん。



かっちゃんに謝られたら、もうほんまに終わりやん。ほんまにほんまに終わりやん。


あれ?おかしいな。なにを考えてんの自分。

それを望んでたんやろ?終わらせたかったのはウチの方やろ?


…終わりって決めたんは、ウチなんやろ?



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