昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

続きなに?みたいな顔でかっちゃんがじぃって見てくるから、慌てて違う話でごまかす。


「お…お母さんが、ちゃんとしたもん食べよって言いよったで」

「おばちゃんが?」


違うな。"ご飯差し入れに行ったりーよ"ってウチが言われたんやったな。


「実家帰ったんや」

「うん」

「ふーん……いつ?」

「5日くらい前」


なんで普通に話してんのやろ。普通を装ってんのやろ。

なんでこんなにも、喉がカラッカラに渇くん。


「…そうやなくて。はよ戻ったりよ、友達んとこ」

「……ああ」

「………」

「………」

「……もう、ウチ行くわ。」


沈黙の空気すら震える。震えとるみたいに感じる。意思とは真逆に起きる自然現象。


──動揺してる。


認めるよ、認めるけど。

でもそれはきっと今だけのもの。久しぶりに会ったから、それだけやから。痛い思い出があるから。かっちゃんは、ウチの嫌なとこを全部思い出させるから。

もうちゃんと決めたから。


…なぁ、ウチはもうかっちゃんに動揺するわけにはいかへんねん。


かっちゃんに背を向けると、下駄を引きずって歩き出した。

指と指の間の摩擦で傷ついた部分が、アホみたいに痛い。




「ゆう」




名前を呼ばれた。


面白いくらいに、肩が跳ねた。



「…ごめんな」




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