昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


後悔しとるよ。

死ぬほど後悔しとるよ。


あの時受け入れたことも

拒まんかったことも

触れられたことも

触れたことも

重みにすがりついたことも

名前を呼んだことも



かっちゃんを好きになってもたこと自体も。




やけどもっかいやり直せたとして、




ウチはホンマに、違う選択をすんの?













「…なんで泣くねん」



視界が歪んで、気持ちの真ん中が破けた。

何枚も、何枚もの膜を重ねて。


ずっと抑えてたもんが、かっちゃんのごめんで一気に飛び散った。









"好きなんやろ?"

"そ…んなわけ、ない…やん"

"…じゃあなんでそんな顔してんの"

"ちゃうよ"

"ウソつけ"

"好きちゃうっ!!"

"…優子"

"ちゃうもん!!あんなヤツ……っ"

"…じゃあなんで泣いてんねん"




"…好きなんやろ"

"………"

"そんな泣くくらい、好きなんやろ"

"………っ、"

"…アホやなぁ、優子"








"うん……、好き、や…っ"







ああ、ゆうてなかった。



「…きやのに…」




一回も、言葉にしてゆうてなかった。





「〜めちゃめちゃ好きやったわ!死ねアホ!!」






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