ヤクザと執事と私 【1の残り】

「あの・・・」


「大丈夫ですよ、小夜さん。」


執事は、心配そうな私に笑顔を向ける。


「・・・はい。」


私は、なぜか執事に言われると、本当に大丈夫のような気がした。


「・・・俺は、ヒラメのエンガワ食べるな。」


いきなり組長が訳のわからないことを言い始める。


「何ですか、急に?」


執事が組長を見る。


「いや、だから、もし、明日、世界が終わるとしたら、俺は、寿司屋で好きなだけヒラメのエンガワ食べるな。」


「・・・よかったですね。」


執事のあきれた表情。


「なんだよ、その表情は!・・・マグロのトロでもいいけど・・・高いしな。」


「明日、世界が終わるとしたらですよ?高いのは関係なくないですか?」


思わず組長に突っ込む私。


「え~。でも、もし、明日、世界が終わらなかった時、好きなだけトロ食ってたら大変だろ?」


「・・・それ、仮定に仮定を足すのが間違ってませんか?」


そんな私と組長のやり取りを微笑みながら執事は見ている。

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