ヤクザと執事と私 【1の残り】
私の背中を冷たい汗が流れる。
「小夜さんを離しなさい。」
いつもとは違う余裕の感じられない執事の声。
それだけに、私は、自分の置かれている状況を理解することができた。
「だめだよ。お姉ちゃん、離したら、目的達成できなくなるかもしれないでしょ。」
「おい、目的って何だ?」
組長が、少女に声をかける。
「目的言う馬鹿いるの?・・・聞く馬鹿はいるみたいだけど。」
少女は組長をからかう。
組長は、それを聞いた瞬間、少女に飛びかかろうとするが、執事が止める。
「大和、落ち着いてください。・・・小夜さんのためです。」
「・・・ああ、悪かったよ。」
組長は、悔しそうにつぶやく。
「まぁ~みんな、落ち着きなよ。すぐには、殺さないからさ。・・・でも、このお姉ちゃんには、昨日、警告したんだから、殺しちゃってもいいんだけど・・・。」
「け、警告?」
私は、どうにか声を絞り出す。