ヤクザと執事と私 【1の残り】
「そう、世界が終わるって教えてあげたでしょ?それなのに、ここ来るんだもん。ちゃんと、一生懸命生きてきた?」
私は、首を横に振る。
「なんだ・・・それじゃ、昨日、殺しても一緒だったね。」
少女は、残念そうな表情になる。
「やめなさい。・・・私が、小夜さんの代わりに人質になりますから。」
執事が、私と少女の方へ一歩足を踏み出す。
「裏社会で有名な執事さん、動いちゃだめだよ。」
少女は執事を見て笑う。
執事は、すぐに止まった。
「そうそう、あともう一歩でも近づいてきていたら、お姉ちゃん、死んでたよ。」
「・・・誰が目的ですか?」
ここまで悔しそうな執事の声を私は聞いたことがない。
「もう、ここにいる人は馬鹿ばっかりだね。・・・でも、特別にちょっと話をしてあげるよ。」
「話?」
「うん。世界が終わった話。・・・昔、昔、それは、仲良く暮らしている家族がいました。ただ、家族といっても、誰一人、血の繋がらない家族。でも、みんな幸せ・・・・あの時までは。」
少女の声が震えているのがわかった。