ヤクザと執事と私 【1の残り】

「そう、世界が終わるって教えてあげたでしょ?それなのに、ここ来るんだもん。ちゃんと、一生懸命生きてきた?」


私は、首を横に振る。


「なんだ・・・それじゃ、昨日、殺しても一緒だったね。」


少女は、残念そうな表情になる。


「やめなさい。・・・私が、小夜さんの代わりに人質になりますから。」


執事が、私と少女の方へ一歩足を踏み出す。


「裏社会で有名な執事さん、動いちゃだめだよ。」


少女は執事を見て笑う。


執事は、すぐに止まった。


「そうそう、あともう一歩でも近づいてきていたら、お姉ちゃん、死んでたよ。」


「・・・誰が目的ですか?」


ここまで悔しそうな執事の声を私は聞いたことがない。


「もう、ここにいる人は馬鹿ばっかりだね。・・・でも、特別にちょっと話をしてあげるよ。」


「話?」


「うん。世界が終わった話。・・・昔、昔、それは、仲良く暮らしている家族がいました。ただ、家族といっても、誰一人、血の繋がらない家族。でも、みんな幸せ・・・・あの時までは。」


少女の声が震えているのがわかった。
< 50 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop