ヤクザと執事と私 【1の残り】
朝、朝食の後、私は、家の門の前を掃除していた。
「よう、小夜、迷惑かけたみたいだな。」
家の玄関から、真木ヒナタが元気そうに歩いて出てきた。
今のところ、真木ヒナタには、後遺症がないということだった。
「真木さん、元気になってよかったですね。」
私は真木ヒナタを見て笑う。
「まぁ~・・・俺様はあれくらいじゃ、死なないよ。」
何日も昏睡状態だった人とは思えない言動。
「・・・あの、ところで・・」
私が何を言いたいのか察した、真木ヒナタは、胸から1枚の紙を出し、私に見せる。
紙には私の読めない言語で何か書いてある。
「まぁ~・・・そういうことだよ。」
「・・・ごめんなさい、真木さん。読めません。」
「何だ、小夜?ロシア語のひとつも読めないのか?」
「・・・むしろロシア語読めない方が普通だと思いますけど。」
「まったく、しょうがねぇ~な。読んでやるよ。」
真木ヒナタは、私から紙を奪い取り、私に意味を教えてくれた。
「ヒナタお兄ちゃん、私の世界が終わるから、林檎の木を植えます。その林檎の木は、黒より暗く、赤より紅い林檎の実がなるけど、ヒナタお兄ちゃんなら、食べてくれるよね。間違って撃っちゃってごめんね。ミーシャ。」
「・・・黒より暗く、赤より紅い林檎の実って?」
私は、真木ヒナタを見る。
「・・・さあ、そんな林檎の実は知らないけど・・・似たような果実は知っているけどな。」
「何ですか?」
「・・・復讐の果実さ。」
真木ヒナタは不敵に笑い、家の中へと戻っていった。