やさしい声【短編】
いつも通りの毎日なのに
拓真と私の間には妙な緊張感が生まれてた
「いつ答えを聞けるんだろう」
「いつ答えを催促されるだろう」
お互いに
いつも通りを保ちながら
時限爆弾を抱えてるような
ビミョーな毎日
そんな日々が3ヶ月続いて
拓真はプロポーズしたことを
忘れてくれたのかなぁと
あり得ない都合のいいことを思い始めた頃
「ねぇ、真琴。
どうして怖いの?」
土曜日の夜
もう互いの身体のどこをどう刺激すれば良いのかわかり合えた
いい意味で
慣れたセックスを終えたあと
拓真は私の目を真っ直ぐ見つめて聞いてきた
どうして怖いの?
とっさに思ったのは結婚だった
結婚することが怖いのだと
拓真にバレてるんだと………
だけど
「眠るまでお話してくれないと怖いんだよね?」
小さな子供に
訊くような口調だった
初めての夜から拓真は私に一度も訊ねて来なかったから
さして疑問に思っていないのだろうと感じてた