【鬼短1.】顔無し鬼






ななちゃん。




今日はなんだか、きみが来てくれるような気がするよ。













……あれから何年経ったかな。





一時はここも、駐車場になったり、ぷれはぶが建ったりしたよ。

でも、ヒトがだんだん減って…




最後は、なんにもない空き地になった。














隣に建ってるアパートにも、今は誰も住んでいないみたい。




とっても静かだよ。





桜の木もなくなっちゃって、
今日みたいな夏の日は、陽射しがとても暑い。




昨日みたいな雨の日は、芯までびしょ濡れになるんだ。
もう祠も壊れてしまったからね。

















ああ、ななちゃん。

きみは驚くだろうな、ここを見たら!

きみのために、すごいプレゼントを用意してるんだ。















ななちゃん、ななちゃん。


お話しがないから、わたしは日に日に小さくなっていくみたいだ。



ななちゃん。




消えてしまうまえに、


もう一度………







きみの笑顔が見たい。








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