キミは聞こえる
「ミサンガ、もらった?」
スポーツ飲料が霧吹きのごとく桐野の口から吹き出される。
「はっ、はぁっ!? だっ、誰に!?」
「誰にって、訊いてるの私なんですけど」
「だ、誰からも、もらってねぇよ……」
口許を拭いながら桐野はぼそぼそと答える。
「小野寺君は?」
「…知らねぇ」
「ふぅん」
親しいくせに知らないのか。使えない男だ。
「…誰かに渡したのか?」
「誰が?」
「おまえが」
「ううん」
「ふぅん?」
なんだその目は。疑われているのか。だとすれば何故だ。
目を背ける。
……相変わらず、よくわからない人である。
柱には長方形が描かれていた。石で描いたのか、線が白い。
ゴールに見立てているのだろう、四隅の角が変色していた。集中的にボールが飛んできた証拠だろう。
「部活ないの?」
「来週の月火やってテスト休み挟んでテストの日から再開」
大変だ。
「そういう優等生は勉強しなくていいのかよ」
……嫌味か。
「そういう言い方、好きじゃない」
そっぽを向いて橋の下へ足を進める。
長方形のちょうど真ん中にやってきたとき、
(!?)
急に、動けなくなった。
スポーツ飲料が霧吹きのごとく桐野の口から吹き出される。
「はっ、はぁっ!? だっ、誰に!?」
「誰にって、訊いてるの私なんですけど」
「だ、誰からも、もらってねぇよ……」
口許を拭いながら桐野はぼそぼそと答える。
「小野寺君は?」
「…知らねぇ」
「ふぅん」
親しいくせに知らないのか。使えない男だ。
「…誰かに渡したのか?」
「誰が?」
「おまえが」
「ううん」
「ふぅん?」
なんだその目は。疑われているのか。だとすれば何故だ。
目を背ける。
……相変わらず、よくわからない人である。
柱には長方形が描かれていた。石で描いたのか、線が白い。
ゴールに見立てているのだろう、四隅の角が変色していた。集中的にボールが飛んできた証拠だろう。
「部活ないの?」
「来週の月火やってテスト休み挟んでテストの日から再開」
大変だ。
「そういう優等生は勉強しなくていいのかよ」
……嫌味か。
「そういう言い方、好きじゃない」
そっぽを向いて橋の下へ足を進める。
長方形のちょうど真ん中にやってきたとき、
(!?)
急に、動けなくなった。