宮地岳線
でも、アイツと同じ学校だということは言わなかった。
隠したかったからではない。
認めたくない存在だから。
「わたし、あなたに二度も助けてもらいましたね…」
「そんな、助けただなんて…」
「お礼が、したいな…」
「お礼?いいよ、そんな…」
あなたとこうして宮地岳線で再会できただけで、もう充分だよ…。
「今晩は博多港の花火大会ですよね」
「うん…」
「わたしの地元に、誰も知らないとっておきの場所があるの。今まで誰にも教えたことがないんだけど…」
彼女はそう言って健太を見ると、唇を微かに綻ばせて俯き、団扇の柄を両手でキュッと握りしめた。
ポニーテールが、項(うなじ)から肩へと流れる。
そんな彼女の姿に、健太はどうしようもないほどの想いが込み上げてくるのを感じた。この人と、もっと一緒にいたいと思った。
「…そこからだと、花火がとても綺麗に見えるんです」
「そう、なんだ…」
「よければ、お礼に、どう、かなって…」
健太は彼女が、精一杯の勇気でこの言葉を口にしているのがわかった。そんな彼女の勇気に、健太は両の掌で包み込んであげたいほどの愛おしさを覚えた。
健太の気持ちは、ただ一つ…。
「いいな、行ってみたいな、そこへ…」
隠したかったからではない。
認めたくない存在だから。
「わたし、あなたに二度も助けてもらいましたね…」
「そんな、助けただなんて…」
「お礼が、したいな…」
「お礼?いいよ、そんな…」
あなたとこうして宮地岳線で再会できただけで、もう充分だよ…。
「今晩は博多港の花火大会ですよね」
「うん…」
「わたしの地元に、誰も知らないとっておきの場所があるの。今まで誰にも教えたことがないんだけど…」
彼女はそう言って健太を見ると、唇を微かに綻ばせて俯き、団扇の柄を両手でキュッと握りしめた。
ポニーテールが、項(うなじ)から肩へと流れる。
そんな彼女の姿に、健太はどうしようもないほどの想いが込み上げてくるのを感じた。この人と、もっと一緒にいたいと思った。
「…そこからだと、花火がとても綺麗に見えるんです」
「そう、なんだ…」
「よければ、お礼に、どう、かなって…」
健太は彼女が、精一杯の勇気でこの言葉を口にしているのがわかった。そんな彼女の勇気に、健太は両の掌で包み込んであげたいほどの愛おしさを覚えた。
健太の気持ちは、ただ一つ…。
「いいな、行ってみたいな、そこへ…」