フラミンゴの壁
「いい勘してますね。そのうちあなたの自宅につくはずなのに、ちっとも付きませんね。僕もね、ちょうど変だなと思っていたんですよ。あなたが勘ぐる間に妙に時間も空間も伸びてしまうようですね。」

「それをきっかけとあなたたちはいうんでしょう?」俺は攻撃的な口調で言った。

「ははっ、良くご存知で!そうですね、あなたと私の間のきっかけが発動したらしいですね。あなたと私の時間が発動したということですよ。あなた、今日のうちには家には帰れませんよ。夜は長いですからね。まずは自己紹介をしなくちゃね。私は、ダナエ。国籍はありません。ちなみにあなたとは、口車のうえで会っています。あなた、ヘルメスといっしょに笑いものになってましたよね。あれ、見てましたよ、私。それから、あなたが泥だらけになってどこかへ消えてしまった。」

「俺の夢のなかの話をしているのか、お前たちグルだったのか。さっきの男もそうだな。」

「やっぱり、君は感がいいね。なら、どうして私とヘルメスが君のまえに現れたと思う?」

「いや、現れたのは手紙にそう書いてあったからだ。探せとね。そして、お前たちに出会った。まるでそうあることのようにね。ありえないことが必然に変わっている。どうだろう、僕がこの車から飛び出したら、僕は死ぬかい?」

「それは分からないわ、きっかけは誰にでもみえるものでもないし、ハズレだってありえる。」

「そうだね。じゃ、簡単なところからはじめよう、まずこの車を止めよう。そして僕は自宅へ帰える。そのきっかけを作るとしよう。」
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