フラミンゴの壁
もしあの二人が賢ければ、ここで余計な時間を使うまい。
俺には算段があった。
どうせ解放する時間が未来においてあるのなら、いますぐに解放するのが一番利口なことだ。
この空に捕われていることは無意味だ。
この時間には、俺には予定されたことは何もない。
あるのは時間いっぱいまで消化した解放と奴らの考えだ。

「それは俺に対する挑発か?きっかけか?」モアレの男が言う。

運転手ががモアレの男を「ヘルメス」と呼び、制止するように「これは必然だよ」と言った。

「ヘルメス、彼は知っているよ、やっぱり彼だ。」

そういうと運転手は足元に落ちていた小枝を二本拾い、そのままペケの字に交差させて草原のうえに置き直した。
それからはっきりと聞き取れなかったが何かをつぶやくと、ペケの字に描いた小枝を足の裏で踏み付けた。

その瞬間に俺の体がかるくなりゆっくりと草原のうえに解放された。

「これは規則的なきっかけだよ。君たちがエレベーターにのるときにボタンを押すのとかわらないことさ。君たちのが機械仕掛けなら、わたしたちのは魔法のように思われるかもしれないがね。」

いざそんな力を見せられると魔法のように見えた。
< 18 / 35 >

この作品をシェア

pagetop