フラミンゴの壁
第11章
「十分なほど魔法だね。驚くよ、魔法も超能力もあってもおかしくないが、そのトリックをきっかけの為せる業というんだろ。」

俺は呆れて、足元の棒を拾いあげた。

「いいかい、魔法なんていわばこういうものだろっ。」

俺は棒の先に意識を集中した。

「きっかけは無数にある。しかしそのきっかけに触れることができるのは一部だろう。そしてそれに触れてもかなわないものもある。所謂、潜在というものだ。しかし、ダナエが俺にいったことのようにこの俺にはきっかけを探る力がある。その力は鍵だ。触れて鍵穴が回ればそれは世界を変えられる。」

俺は両手で長すぎる棒を少し折った。

ダナエとヘルメスが憮然と俺の行動を見ていた。

俺は腕を延ばし棒の先端が視線と同じ高さに持っていき、さっきと同じように意識を集中した。そしてその先端を額に突き刺し、呪文となる言葉を言った。

「スキャンティ!」

その瞬間に時空の皮が剥がれるようにあたりの景色が変容した。

「何をやったんだ!」ヘルメスが叫ぶ。

「彼、ほんとうにきっかけをつかんでる。行けるよ!運命を変えられる!」

ダナエがヘルメスの手を取りながら言った。
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