優しい悪魔−マキコと和夫−

「こんな所で死なれちゃあ、たまんないわ。私が殺人犯になるでしょ。止めてよ!」

マキコは精一杯意地をはって言ったが、涙声になっている。

和夫はコップを握ったまま、左手でポケットのケータイを取り出した。

マキコの前でボタンを押すと、出てきた相手に言った。

「おふくろ、オレもう疲れたから死ぬわ。もう、どうでもいいんだ。死んで、全て終わらせてやる。」


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