優しい悪魔−マキコと和夫−

姉はそれからずっと、笑わなくなった。

しかし、その姉が笑顔を見せた時がある。
それは和夫が生まれた時だ。

“かわいい、かわいい。”
と和夫をあやし、遊び相手をしていた。

和夫も初めは姉になついていて、乃里子も忙しい時など、時々、姉に和夫を預けて出かけていた。


秀一は、これで姉が昔の事を忘れるかもしれないと期待したが、和夫が五才の時だ。

乃里子が衝撃的な一言を言った。


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