狐と兎
完全な手掛かりを失ってしまったキルシュは、その場に倒れ込みました。
飲まず食わずで休まず数十時間。体力の限界だったのでしょう。
朝と夜の境目が広がる空を見つめながら、キルシュは目を閉じようとしたその時でした。
キルシュの耳に、獣のようなか弱い声が聞こえてきたのは。
むくりと起き上がり声が聞こえる方を振り向けば森と岩場の境目辺りで、
黒い塊がじたばたと蠢いていました。キルシュは驚きながらも恐る恐る近寄り、
その塊の正体を確かめました。それはなんと、龍の赤ちゃんでした。
キルシュの膝下くらいの大きさ黒い身体に小さな翼を生やし、
青い大きな瞳はとてもつらそうな表情を作っていました。
「お前、どうしたの……? って、怪我しているじゃない!」
ピギャーと泣き続ける龍の赤ちゃんの足からは、赤い血が滲んでいました。
最初は黒に紛れて分かりませんでしたが、地面には赤い斑点がありました。
飲まず食わずで休まず数十時間。体力の限界だったのでしょう。
朝と夜の境目が広がる空を見つめながら、キルシュは目を閉じようとしたその時でした。
キルシュの耳に、獣のようなか弱い声が聞こえてきたのは。
むくりと起き上がり声が聞こえる方を振り向けば森と岩場の境目辺りで、
黒い塊がじたばたと蠢いていました。キルシュは驚きながらも恐る恐る近寄り、
その塊の正体を確かめました。それはなんと、龍の赤ちゃんでした。
キルシュの膝下くらいの大きさ黒い身体に小さな翼を生やし、
青い大きな瞳はとてもつらそうな表情を作っていました。
「お前、どうしたの……? って、怪我しているじゃない!」
ピギャーと泣き続ける龍の赤ちゃんの足からは、赤い血が滲んでいました。
最初は黒に紛れて分かりませんでしたが、地面には赤い斑点がありました。