狐と兎

すると今度は大きな羽ばたく音がキルシュの耳に届きました。

1匹だけではありません。空を見上げれば数十匹の龍達が空を舞っていました。

その様子はまるで再び夜がやって来てしまったかのような風景でした。

キルシュはその光景を見て喜びと同時に恐怖の感情が込み上げました。

龍達はそのまま岩場へと次々と着地しました。

全てが着地した頃、キルシュは覚悟を決めて龍の群れ目掛けて、全ての龍に聞こえるような声で叫びました。


「貴方達が1人の人間に呪いをかけた集団ですかぁぁぁー?」


その言葉に1番奥にいたであろう龍が羽ばたき、キルシュの目の前までやって来ました。

背丈は5m以上はあるであろうその龍はキルシュに顔を近づけ、鋭い眼で睨みつけました。


『小娘が何用だ……?』