狐と兎
生温かい龍の吐息がキルシュにかかります。

龍だから言葉が通用しないと思っていましたが、どうやら言葉は通じているようでした。

キルシュはまっすぐに龍を見つめながら、龍に頼みました。


「お願い! 呪いを今すぐ解いて!」


龍は少しだけ思考を巡らせてからたった二言、

キルシュにズシリと重くのしかかるかのような声で言いました。


『それはならぬ。我が兄を殺した罪なのだ』


キルシュは怖いと思う気持ちを押し殺して、龍に反論をします。

思っている事を全て龍にぶちまけたのです。
< 76 / 96 >

この作品をシェア

pagetop