メイド in LOVE



母が…死んでいる?


「君の母上は、元々
身体が丈夫では無かった。
だが、君のために頑張って
無理をして倒れてしまったんだ」



私のため、に…?


「半年くらい入院していた。

ずっと君のことを気にして
毎日、手紙を書こうとしてたが
体力がもぅ、無くてな…
母上が亡くなった時に
書きかけの手紙と
私からの手紙を一緒に
君の元に送ったんだ。」


「そう…だったんですか」



目の前が真っ暗になった気がした

希望であった母はもぅいない。

これから何を希望に
生きていけば良いんだろう…



「あぁ…今まで何も知らず
困惑していただろう。すまん

今はどうしてるんだい?」


「えっと……言いにくいんですが
母からの手紙が無くなってから
父は変わってしまって……
お酒ばかり
飲むようになったんです。
生活も苦しくなり学校は
止めました。
先日まで働いていたんですが
父は借金を作っていたらしく
仕事も止めさせられて……
すみません、こんな話。」


「いや、大丈夫だ。
失礼だが、お父上は今どこに?」


「………分かりません。
先日から家に帰ってこなくて
たぶん、借金取りはまだ来るので
どこかの女と
逃げ出したんだと思います」


「……そうか。」


キース団長は驚かなかった。
私の話から大方を
予想していたのだろう。



「今まで、大変だったろう。
よく頑張ったな。」


「…………っ…」


今まで平気なつもりでいた。


母からの手紙が無くなっても
父が私を捨てて居なくなっても


私はまだ大丈夫。頑張れる。

そう自分に言い聞かせて
頑張ってきた。


けど、キース団長の労いの言葉に


私の涙腺は壊れてしまった。



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