メイド in LOVE

ただの気まぐれ




そんな時だった。



――彼女に出会ったのは。



*****



「……………ふぅ…」


「お疲れですか、レオン様」


「あぁ…今日は
少し暑かったからな
早く風呂に入りたい…」


「では、屋敷の者に風呂の準備を
させておきましょう」


そういうと屋敷に電話をかける

こいつは秘書で執事のカイル



今は、夕刻6時

俺の所有する仕事用のリムジンで
家路に向かっている。はずだった



キキィィィィイ!!

車が突然、急ブレーキをかける


「…………っ」


「どうした!!?」


運転手が驚いた顔で振り向く

「…す、すみません
突然車の前に人が出てきて」


「確認してきます」

カイルが素早く車を降りる

彼の目は

車の中でお待ちください。
と語っていた



従順で誠実な部下を信じ
おとなしく車の中で待つ。


窓から外を眺めると
どうやらココは
国の中でも多い、貧困層が
暮らす地域のようだ。


貧困層が暮らす地域は
どこもかしこも治安が悪い。


スリやこそ泥は可愛い方で

明日を生きるために
自分の子供を売るような奴や
人間を誘拐して売るような奴が
平気で暮らしている。


富裕層の中には
そいつらの人身売買の
手助けをして
金を稼ぐ最悪な奴らも
いるらしい。


今みたいに
金持ちの車に自ら
飛び込んで行き
慰謝料を請求するような
輩もたくさんいる。



どちらにしろ
国はそれらを取り締まれないから
この国は表面上だけの
"良い国"で終わる。



そんなことを
考えていると…



キャーーーーー!!


突然、車の外で
若い女性の悲鳴が聞こえた。


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