メイド in LOVE



「その汚い手をどけろ。」


「!?」


「なんだ、お前ぇ?」


「ソコで見ていれば、
だいたいの事情は分かった。

だが、お前らの態度は
女性に対する態度じゃない。」


俺はうつ向いたままの女性の
手を掴み、背中に庇った。


「はぁ?
お前には関係ないだろ?」


「それとも何だ?
お前が借金の肩代わりでも
してくれるのか?

お前、見たところ
相当な金持ちなんだろ?」

がははは、と
笑いだした男たち。

やはりそう来るか。


「………はぁ。
まぁ、それでも良いだろう。
肩代わりしてやる。

その代わり
金輪際、この娘と俺に
関わらないと誓え。」


俺は、近くで見守っていた
カイルを呼び
俺の財布を取ってこさせた。


「で、どれくらいだ?
100万か?500万か?」


そう気軽に尋ねると
男どもは、驚いたように
目を見開いた。

誰も何も言わない。


「まぁ、良い。
こっちは時間が無い。
とりあえず100万置いていく。
足りなかったら
俺を探して請求しろ。
……じゃぁな。」


俺は札束を男の一人に
押し付け、娘の手を掴み
車の方に歩き出した。



バタン

「ココの空気は悪い。
早く家に向かえ。」

運転手に直接命令し
息を付いた。



まだ問題は残っている


「…大丈夫か?」


そう、声をかけると
今までうつ向いていた女が
顔をゆっくりとあげた。



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