秘密な契約と掟破りな愛

どうしよう…。さっきの男の車にあるんだわ。勢いよく飛び出て来たから…忘れちゃった。財布も携帯電話も鞄の中なのに…。



「…鞄……車の中か?」


「………ええ…」



私はただ頷くしか出来ずにいた。今日はたまたま電車通勤だったから…鞄がないと帰れないじゃない…。ここから歩いたらかなり距離あるし…。



「鈍臭い女だな……面倒臭い…」



男は低くハスキーな声でそう呟き溜め息を吐くと『送ってやるから来い』と車のキーを取り出して居酒屋から少し離れた駐車場へと歩いて行く。


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