この手で紡ぐ神の欠片
僅かに顔に微笑をたたえながら詠人は言った。
「たくさんの女の子に色々言ってるけどさ」
一度、彼は眼鏡を掛け直す。
「誰かのたった1人にはなれそうにないよ」
その口調が、
どことなく寂しそうで
微笑さえも
頼りなかった。
「軽々しく言うからだよ」
私は髪をかきあげた。
茶色い髪が、耳元でサラリと小さな音を立てる。
「…珠輝さぁ」
詠人が首筋をかいた。
「好きだよ」
「…バナナの皮で滑って頭強打しちゃえ」
照れ隠しに私は言った。
「突っ込みにしてはヒドいな」
詠人の苦笑。
なんだか馬鹿らしいやり取りだが
これはこれで
ありかもしれないな、と思った。