この手で紡ぐ神の欠片

「詠人――！」

擦り切れそうな言葉で、
私が彼の名を呼んだときには、

「――がぁッ」

詠輝さんが殴り飛ばされていた。


「ふざけやがって…！」

計り知れない程の感情が
詠人のその言葉に
潜んでいるように思えた。

「オレは珠輝を好きじゃ駄目なのかよッ！！」

「―――ッ」

その言葉に、
何故か涙が出そうになった。


「お前の身勝手さで――！」

詠人はそう言ってまた、
倒れた詠輝さんを掴み
思い切り頬を殴った。

鈍い音と、
詠輝さんの口から漏れた声に

私は叫びそうになって、
両手で口元を覆った。

涙がにじんできた。

一方的に殴られる詠輝さんと
一瞬、目が合った。

詠人が殴っている場面を見て、
私は思った。

――あぁ、私のせいだ。