紅い月
凛は汗を拭いている土方に声を掛けるとそのまま蔵を後にした。



バタン・・・




「隊長っ!古高は?」



扉を閉め、外に出ると見張りをしていた四番隊の隊士が声を掛けてきた。




「余計なことに首を突っ込むな。後で副長から話がある筈だ。それまでは自分のすべき事に専念しろ。」



凛はそう言うとスタスタと歩いて行ってしまった。





*******************




「皆、至急集まってくれっ!!」



それから半刻、案の定隊士全員に召集が掛かった。




「「強風の刻京の町に火を放つ。」古高が自白した。これが本当に実行されたらそれこそ大惨事だ。そこで山崎君に頼んで調べてもらった。今日の夕刻、池田屋か四国屋と言う料亭で長州藩士の会合が開かれるらしい。そこに我々で乗り込むっ!皆、戦の用意をしろ!!」




土方がそう言うと同時に隊士たちが一斉に動き出した。




新撰組の今、出陣できる隊士は三十名ばかり、後の隊士は皆怪我や夏風邪などで戦闘不能だ。だが長州側には四十名は居る。しかも池田屋か四国屋、どちらに集まるのかは見当が
付かない。だから新撰組は二手に分かれなければいけない。



長州藩士の居る確立の低いほうに少ない人数を割り振るのが妥当な考えだろう・・・。




















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