探偵学園Q
「私の家においで」




その一言があたしの人生を変えた。




「ハデス様?ハデス様のお孫さまってあたしと同い年って本当ですか?」

「…ああ。またケルベロスが教えてくれたのか?」

「はいっ!……いつか会えますか?」

「………。ああ。いつか」




会えたらいいなと子供ながらに夢を見ていた頃。

ハデス様は本当の父親みたいにあたしを育ててくれた。




「…優衣。お前もここにきて9年がたつ」

「はい」

「本当はこんなことさせたくないんだ。血濡られた闇に手を汚してほしくはない」




13歳の誕生日の日。
あたしはとうとう時がきたんだと悟った。

ハデス様たちがしていることは薄々感づいてはいたし、別にそれにたいする抵抗感なんてものはまったくなくて、むしろやっと役に立てることが嬉しかった。





「…ハデス様。あたしは喜んでどんな任務でもします。それがあたしのできる恩返しですから」

「……そうか」




そこで一年をかけて冥王星に関しての知識を植え付けられて、14歳の夏…Qクラス潜入の任務を遂行することになり、みんなと会うことになった。

そこでの毎日は想像していたより甘くはない現実が拡がっていたけれど…


それでも初めての仲間に嬉しくて、任務のことなんて忘れてしまうくらい幸せだった。

だから踏み越えちゃいけない一線を越えてしまったの。

自分の選択を誤った。


流に恋をした。

絶対にしてはいけない禁忌だったのに。なんであたしは…





「いま…なんて…」




頭が突然の衝撃にフリーズ状態になった。
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