探偵学園Q
「いま言ったとおりですよ。あなたの父は殺されたんですよ。ハデス様によってね」

「う…そだ」




あたしのパパを殺したのはハデス様…?
ならなんで、あたしはここで育てられたの?


なんであたしは

あたしはここにいるの?




「あなたは何も覚えてないでしょう…。なぜならハデス様によってあなたの記憶は消されていたんですから」

「ど…ういう意味」




「あなたは10年間…彼に手の平のうえで遊ばれてたんですよ」

「は…?」




意味がわからない。

またケルベロスの、人を言葉巧みに惑わす話術か…?とか、そういう疑わしい気持ちしか思い浮かばなくて、素直に信じることなんてできなかった。




「でたらめ言わないで」



‐「君のお父さんの親友だよ」‐



「証拠はあるの?」


‐「本当はこんなことさせたくないんだ。血濡られた闇に手を汚してほしくはない」‐




いつだってハデス様はあたしに優しくしてくれて、親代わりになってくれた。

ケルベロスやユリエさんの言葉には反抗してばかりだったけど、ハデス様の命令なら…って。


それがあたしのできる恩返しだから。




「…証拠なら見せる前に、あなたが思い出せば良いんですよ」

「え…?」
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