探偵学園Q
「……はぁ…ッ…はぁ…」




体が重い。
数百メートル歩いただけで呼吸が苦しくて足がガクガクする。

これも催眠のせいなんだろうか?



「く…っそ…」



時計を見るとあの部屋を出てから一時間はたっていた。

この体でタイムリミットの時間までに本当にあそこまで辿り着けるのだろうか?

タイムリミットまであと19時間。



「もっとはやく…出れば…ッ…よかったかな…」




4時間の間にあたしはあの部屋を、天草の家を出る準備をした。

そして最後の"私"を残してきた。



「気づくか…な…」



それは信じるしかないけれど。

しばらく歩くと、わりと人通りの多い場所に出た。
隣を通り過ぎる人たちが不審な目であたしを見ては何も言わずに過ぎ去っていく。

おかしいって思うなら助けてよ…。



「……っ……はぁ…」



まあ、誰もあたしに関わりたくないんだろう。

あたしも誰かの手を借りる気などさらさらないのだが..




「……ははっ。矛盾してるなあ自分…」




あざ笑うように笑みをこぼすとあたしは、一歩ずつ足を踏み出した。
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