探偵学園Q
「っっ!!!!!」





気づいたら団先生の部屋を飛び出して秋葉原の街を走っていた。

人込みの少ない路地裏までついてからようやく息を整える。

気持ち悪い。



「…違う。僕は後悔なんかしてない」



自分に言い聞かせるように何度も何度も呟く。


──「リュ…ウ」


出てくるな。
出てくるな。
出てくるな!



「後悔なんか…するわけ…ないだろ…」



────────
─────





DDS手帳を置いてQクラスの部屋から外に出て空を見上げると、太陽の光に思わず立ち眩みした。

目を閉じるとQクラスのメンバーの表情がよみがえってくる。

キュウの泣きそうな顔。
メグの信じられないといった表情。
カズマの眉間には皺が寄っていた。
キンタは…、たぶん怒っているだろう。



「当たり前か」



僕は皆に隠し事をしていたのだから…。


──裏切り者


そのときふとその単語が頭に思い浮かんだ。

…いや違う。
僕は裏切り者なんかじゃない。あいつとは違うんだ。

あいつみたいに平気で好きだとか嘘吐けるような奴とは違うんだよ。


─…ズキン

…まただ。
頭の中で警報が鳴り響く。



「…今度は何だよ」



三度目の胸騒ぎに頭痛も加わって思わず溜め息が出た。

一回目はユイの正体がわかった時。

二回目はユイと再会した時だった。

じゃあ次は何だっていうんだ。
なんだか心の中でつっかえているもやもやにイライラする。



「…こんなことで悩んでなんかいられないのに」



僕の今やるべきことは冥王星が関わっている事件を自分で解決すること。

冥王星と戦うことを決めたのだから。
こんなとこでぐずぐずなんかしてられないんだよ。

僕はもう一度Qクラスの部屋を見上げると、その場をあとにした。
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