探偵学園Q
「…どうして逃げるの?ズルいよリュウ」

「ズルい?」



何がずるいんだ?
正直そう言われるのは心外だ。

僕は自然に眉間に皺が寄ったのを自分で感じながら足を止めた。



「だって言いっぱなしじゃない。説明ぜんぜん足りないし…、あたし達にもっとちゃんと話してよ。


ねえ…仲間でしょ?あたし達」
「………」



“仲間”か。

ふとユイの顔が浮かんで僕は思わず苦笑した。
仲間なんてそんなのどこにもないじゃないか。

裏切り者のことをメグは知らないから言えるんだ。





「……ユイが冥王星の手先だったとしても?」



現実に君たちが仲間だって信じてるユイは『裏切り者』なんだよ…?



「…え……」



メグの瞳が大きく見開かれた。

ほらね。
メグはあまりの衝撃に声も出ないのか口を押さえて後退りした。

僕はその姿にまたも苦笑しかできなかった。



「…仲間なんて、最初から存在してなかったんだ……」



自然と口から出た言葉は自分自身の心にも深く突き刺さる。

僕の言葉にメグは何か言いたげそうな視線を僕に向けて震えながら俯いた。



泣いているんだろうか。

それから数分の間、僕らは一言も喋ることはなかった。しかし、その沈黙を先に破ったのは意外にもメグだった。



「ねえリュウ…」




メグの瞳がまっすぐに僕を見据える。




「…それでユイを突き放したの?」
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