探偵学園Q
「…え」

「あ。」



自然と自分の口から出たことばに慌てて、手で蓋をする。

あたしいま何て言った?



「ごめ…っ」



都合良すぎるでしょ。
リュウを追い詰めてるのはあたし達なのに…。

いまだってこうやって監視して裏切ってるのに。


仲間なんて言う資格ない。



「いまの忘れ…ッ

「前にも似たようなこと言われたよね」

「え…?」



“これからずっとよろしくね!”



「あ、初めて会った時」

「ああ」



だってあの時のあたしは催眠にかかってたから…



「リュ…じゃなくて天草く



「ってゆうかなんで名前で呼ばないの?」

「…え、あ…」



だ、だって…



「僕と友達になってくれるんじゃないの?」



―ドキ…

ため息を吐きながら微かに口角をあげ振り向いたリュウの姿に、胸が高鳴った。



「え…リュ、リュウ…」

「言えるじゃん」




―ドキ

まただよ。
わかんないけどリュウの顔を見ると胸の奥がキューッて締め付けられる。

このキモチ何…?



「……ありがと」

「なにが?」

「な、なんでもないっ」




もっとリュウのこと知りたい。

そう心から思った





「…いけない猫ですね。ユイは」

「まあほんと。リュウ様に恋心を抱くなんて…まだ自分の身分がわかってないんじゃないかしら……」




「しつけが必要でしょう」




あたしはまだ知らない。
これがあたしの初恋になることに……。

闇に染まった飼い猫が恋した先に待っているのは


裏切りと現実だけだと。





「ただいま」

「あ、ユイおかえり!リュウもいたんだ」

「何その“いたんだ”…って;」



部屋にもどると一番にメグが抱きついてくる。
可愛い…w
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