さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 彼はいつの間に炊いたのか、お茶碗の中に入ったご飯をあたしに差し出す。

 彼が準備したのはハンバーグにミネストローネ、ご飯にキャベツの千切りというラインナップだった。

 ちょっとカロリーが高そうだったが、期待を込めてあたしを見ている彼を見ていると、そんなことはいい出せなかった。

 あたしがハンバーグを口に運ぶ。

「おいしい」

 そんな言葉が自然と漏れる。

「よかった」

 彼は安心したのか、自分の分のご飯を食べることにしたようだった。

「まだたっぷりありますよ」

「でしょうね。また買い物に行かないといけないわ」

 彼女は肩をすくめると、階段ををおりていく。

 あたしは自分の部屋に戻ることにした。

 満腹になったお腹を抱えながら、窓の外を見た。

 窓の外にはいつの間にか星が瞬いていた。

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