さよなら、もう一人のわたし (修正前)
第二十八章 雨の出来事
 「今日、一緒に出かけない。帰るのは明日だよね」

 あたしが杉田さんの部屋に入った第一声だった。

「今日? 別にいいけど」

 今日は久しぶりの休みの日だった。

 いつもは休みの日は監督と木下さんと三人のときが多いが、今日は杉田さんも一緒だったのだ。

 あたしは自分の兄弟に話しかけるようなノリで彼に語りかける。

「どこに行きたい?」

「麓でショッピングしたい」

「分かった。じゃ、車借りてこようか」

 あたしは杉田さんの言葉に頷いた。


 監督に車を使わせてほしいと聞いたら帰ってきた返事はNOだった。

 今日、出かける予定があるらしい。

 でも、交通機関もほとんどないから送ってくれるそうだ。
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