さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしたちはそのまま車に乗り、麓まで行くと下ろしてもらった。

 あたしたちは婦人服の売っているお店に行くと、店の中を覗きこむ。

「君の洋服を買うの?」

「うんん。お母さんの」

 その言葉に杉田さんは目を細める。

「君らしいね」

「そう? でも、無理につきあわせてごめんね。って連れてきた後に謝っても遅いか」

「気にしないよ。似合う洋服があればいいね」

 ついこの前、監督に給料の一部をもらったのだ。

 そのお金であたしは洋服を買いに来たのだ。

「本当は一緒に買い物したかったけど、なかなか帰れないからね」

「家が恋しい?」

「そんなことはないよ。でも、お母さんと暮らしていたのが何かすっごい昔みたいな気がして」
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