さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「じゃ、口止め料に昼ごはんおごってね」

「分かったよ」

 二人はそのままその場所を離れていく。

 これでよかったのだ。

 そう思おうとしても、あたしの胸を締め付けていた。

 どちらも選べない。

 だから、それが分かっていたから尚志さんはあたしから去っていったのだろう。

 あたしはどうしたらいいのか分からなかった。

 あたしは木下さんに言われた言葉を思い出す。

 あたしには向いていない。そして、撮影が終わるときまでにあたしの幸せを見つけてくれ。

 彼女はそうあたしに言ったのだ。

 どうすることがあたしにとって幸せなのか分からなかった。
< 471 / 577 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop