さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしは千春の部屋に入ると、息を吐いた。

 彼女は長い間出かけていたのだろう。

 部屋の空気がむっとしていた。

 冷房は動いているものの、まだ室内は冷え切っていなかった。

「暑くてごめんね」

「いいよ。普段冷房つけないから平気」

「でもどうしてこの辺りにいたの? 帰り道じゃないよね?」

 あたしは今日の出来事を一通り彼女に話した。

 千春はふうん、と頷いていた。

「お兄ちゃん、あそこに通っていたんだ。全然知らなかった」

 彼女はその足でベッドに座る。

「ばかだよね。本当」

 呟くように彼女は口を開いた。
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