さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「あたしはあなたが好きなように選べばいいと思うよ。あなたが幸せになれるならどちらを選んでも絶対に味方になるから。

伯父さんにも、木下さんにもあたしが話を通してもいいし」

「ありがとう」

 あたしが決めないといけないことなのに。

「でもきちんと自分で伝えるようにする」

「どうしても言えないときはあたしが言ってあげるから。でも、きっと伯父さんも京香の幸せを一番望んでいると思うよ。お父さんだからね」

「そうだね」

 少なくとも彼はそれでいてくれるかもしれない。

 彼を父親と呼べる日が来るかは分からないけど、それでも彼はそれを望んでくれているだろうと思った。それまでに全てを決めないといけないのだろう。

 でも、あたしにその答えが導き出せるかも分からなかった。


 家に帰ると、帰宅した母親に水族館のことを聞かれた。

 だからあたしは楽しかった、そう伝えておいたのだ。

 誰かに相談しても答えが出ないことも分かっている。

 だから、自分で決めないといけないと思ったのだ。

 あたしの短い休息はあっという間に過ぎ去っていく。

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