ビターチョコレート
間近で見るとその人は紛れもなくおばさんだった。
「うちに何かよう?」
おばさんはそう聞いてきた。
…え?
もしかしておばさんも忘れてる…?
あたしのことわかってたら第一声にあんな言葉出てこうへんよな…?
「…えっ……あっ…いえ!そう言うわけじゃ!ただここで人を待ってるだけなんで!!」
とっさにあたしはそんなことを言っていた。
「あら、そうだったの?何かごめんなさいね。」
おばさんは優しく笑いながらそう言うと家の中に入って行った。
「あの子、何処かで見たような気がするけど誰だったかしら?」
家に入った直後おばさんがそんなことを言っていたが、あたしには知るよしもなかった。
……そっかぁ…おばさんも忘れてんのかぁ……。
こんなんでホンマに俊ちゃん思い出してくれるんやろか……。
待っているうちにどんどん不安が募っていく。
どのくらい経っただろう。
気付けばもう日は傾き始めていた。
空は薄くオレンジ掛かっていた。
そんな空をボーっと眺めている視線を外し、下に向けるとそこにはあたしと同じ制服の男が二人歩いていた。
…あれって俊ちゃん!!
一人は見てすぐに誰かわかった。
でももう一人はなかなかわからない。