天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「でも…できる限り自然は残して!」

僕の願いに、アルテミアは頷き、

「わかっている」

槍となったチェンジ・ザ・ハートを脇に挟んだ。

「人間もどきだけを滅する!」

アルテミアの両目が赤く輝き、魔力が増す。

「アルテミア!」

女の怒りの感情に呼応して、カイオウの姿になっていた人間もどきが、アルテミアに変化しょうとした。

「うおおっ!」

アルテミアは空中で咆哮すると、槍を回転させた。

雷鳴と竜巻、さらに津波と地震、雷雨とマグマの竜が、地表から飛び出して来た。

「し、自然が!」

阿蘇山や桜島をも飲み込み、九州地方のすべてを包む…光球が発生した。

その輝きは、防衛軍が張った結界を破壊し、日本や挑戦半島を太陽よりも眩しく照らした。

「…」

数秒後…光が止むと、アルテミアは地表を見つめながら、呟くように言った。

「女神の乱撃…」

「な」

僕は目を丸くした。

思った程、地上が破壊されていなかったからだ。

マグマの竜が噴き出した穴などは空いているが、それほどのダメージはない。

下手したら、桜島くらい吹き飛んでいると思っていたからだ。

そして、それよりも驚いたことは…人間もどきの反応がまったくなくなっていることだった。

「…これで…お前達を倒せば、新しい人間もどきは生まれない」

アルテミアは横目で、真横を見た。

「アルテミア!」

激しい汗をかきながら、肩で息をする女が、空中に浮かんでいた。女神の乱撃が発動される寸前、空に飛んだのだ。

「フン。逃げ足は速いな」

アルテミアは笑った。

「き、貴様!」

女は、アルテミアに襲いかかった。

しかし、アルテミアは軽く回し蹴りを、女の脇腹に叩き込むと、地上に向けて払い落とした。

「アルテミア!」

蹴りの次は、裏拳を誰もいないはずの真後ろに叩き込んだ。

すると、男の顔面にヒットした。

女と違い、アルテミアの姿を見て、男は空中に飛び上がっていたのだ。

「モード・チェンジ!」

アルテミアの姿が変わる。
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