姪は叔父さんに恋してる


でも人生というものは、そう上手くは出来ていない。



有頂天で林檎を切ろうとした私の名前を、


「…何故ここにいるんだ。八智絵。」


大嫌いな声が呼んだ。


声のせいで、切りかけた手は停止。
自然と見上げた叔父さんの顔にも、緊張の色が表れる。

振り返るのも嫌。

何せその声は、私の父親のものだったから。


「……私が、叔父さんの傍にいるのは、当たり前のことだから。」

吐き気が湧いたけど、平静に努めて林檎切りを再開する。

「八智絵…。」

聴覚は叔父さんの声には素早く反応する。
不安げにも感動にも聞こえる呟きに、私は叔父さんが打ち明けたあの言葉を思い出す。


―――もう八智絵が“危険”に晒されないように、俺から遠ざけた。


過ちを犯そうとした叔父さんを律したのが、私のお父さんだと。


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