先生の青




今さら慌ててカッコ悪すぎ



絆は ふふふ と笑って


「2-3の笹森くん
知ってますか?
三島先生」


先生の笑顔が一瞬消える
だけど すぐ戻って


「ああ、うん。なんとなく」


……何がなんとなくだ。
全然 知ってるだろー


「市花が欲しがった
射的の景品を
笹森くんが
とってあげたんですよ
ウサギの目覚まし時計」



「ふーん。
笹森くんは優しいねぇ」


少しバカにしたような
口調の先生


絆は私をからかうように


「中学の時から
笹森くんと市花
仲良かったもんねぇ?」


「普通だよ、普通」


無愛想に答えて
マンガに視線を落とす



「笹森くんと市花なら
お似合いだって
みんなで話してたんだよ」



私は もう言葉は返さなかった
話はそこで終わり
先生は絆の土を
ろくろにすえてあげたりしてた




部活の終わり間際
久しぶりに美術室の中
ジャイアンソングが
響いた



大人のクセに
つまんない事で
嫉妬するなよ、まったく




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