先生の青



お祭りには10時までいて
それからカラオケで
朝の5時まで騒いでた








次の部活の時
珍しく絆も顔を出して


陶芸の土をこねながら
無邪気に言った


「夏祭り楽しかったね、市花」


絆の向かいで頬杖ついて
マンガを読んでた私は
心臓が一瞬痛くなる


「あー、うん、そーだね」


曖昧に笑って
その話題が膨らまないように
したかったのに



「夏祭り、二人で行ったの?」


バカ男が……いやいや
三島先生が話に
加わってきた



もちろん絆は笑顔で


「いえ、中学の時の友達8人で」


「……ふーん」


先生は絆の話にうなずく
セーフだ。
これ以上、余計な話はするな絆



「あ、ねぇ、市花」


絆は意味深な笑顔を浮かべ


「目覚まし時計は
ちゃんと使ってるー?」


こ、こいつは……。
いや悪気は120%ないんだ
絆は私と先生のことなんて
知るよしもない



「目覚まし時計って何?」


とうとう絆の隣の椅子に
先生は座り
満面の笑顔で絆に訊く


「き、絆っ!」


慌てて止めようとする私は
不倫が妻にバレそうな
中年サラリーマンみたいだ



だいたい、
先生とは付き合ってる
わけじゃない


私が笹森くんに何をもらおうと
先生には関係ないはずだ




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